本文へスキップ

あなたに寄り添い,共に考え,バランスの良い解決を目指します。はじめまして,フリージア法律事務所です。



お問い合わせはTEL.03-3261-7641

〒102-0093 東京都千代田区平河町2−5−7 ヒルクレスト平河町203

フリージア法律事務所

賃貸借契約のご相談例

賃貸借契約


 テナントの賃料の支払い 
文章記載日 2020年4月11日

Q 飲食店等テナントが多く入るビルを所有する会社です。今般の新型コロナウィルス感染症の影響により売り上げが落ち込んだテナントから賃料の支払いについて相談を受けています。どのように対処すればよいでしょうか。

新型コロナウィルス感染症の影響拡大に伴い,売り上げが落ち込んだり,特定の業種については休業要請が出ることで臨時休業をしているテナントもあります。飲食店等テナントが多く入るビルのオーナー会社に対して店子のテナントから賃料の支払いの相談があった場合は,どのような対処が考えられるのでしょうか。

 この点,国土交通省では,令和2年3月31日付けで「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、飲食店等のテナントの賃料の支払いについて柔軟な措置の実施を検討するよう要請」をしています。これに対応する助成措置は特に定められていません。また,ビルや部屋を貸すのをやめるよう不動産賃貸業自体の休業要請がでているわけではありません。

 賃貸借契約は,賃貸人が目的物の使用収益を賃借人にさせる債務と,それに対して賃借人が賃料を賃貸人に支払う債務との二つの債務が対価関係になっている双務契約です。
 そこで,ビルのオーナー会社がビルや部屋を店子のテナントに対して,通常のように自由に使用収益させている以上は,賃料を所定の支払期限までに所定の賃料を支払うのが原則です。

 しかし,今般の緊急事態下においては,上記の国土交通省の要請では賃料の支払いの猶予に応じるなどの措置の実施を求められていることから,ビルのオーナー会社は,賃料の支払いが期限までに支払うことが困難なテナントについては,申し出があった場合には,支払い期限を延長する対応をすることも考えれます。


 ビルのオーナー会社がそのような対応をする場合には,不動産事業を営むにあたり必要不可欠な賃料のそれなりの額が一時的に入らないことになりますから(場合によっては永遠に),重要な財産の処分に該当しえるので,取締役会設置会社では,取締役会の決議が必要と考えられます(会社法362条4項1号)。なお,重要な財産の処分が株主総会決議の専権事項と定款で決められている会社は,株主総会決議が必要です。

 ビルのオーナー会社は,テナント側に,例えば「@20204月末日(同年5月分の賃料)の支払い期限,A同年5月末日(同年6月分の賃料)の支払い期限を2か月間延長します(@については同年6月末日,Aについては同年7月末日)。」と支払い期限を当面の2か月間延長した上で,その間に,国や地方自治体からの給付金や助成金,金融機関からの融資等を検討することも促すのが良いでしょう。
 通常の賃貸借契約書では,賃料の
支払いを一定期間分怠った時は賃貸借契約の解除事由となっていますが,支払い期限が延長される場合には不履行がないので,解除権は行使できないことになります。
 今後の新型コロナウィルス感染症の状況をふまえ,支払い期限の延長を続けざるを得ない事態も考えられますが,その際には,テナントから預け入れられている敷金や保証金には上限があることから,敷金や保証金の額や原状回復費用なども考慮して,税理士や公認会計士にも確認しながら,支払い期限の延長の是非を考えることが大事です。

 それでは,支払い期限の延長以上に,ビルのオーナー会社は,賃料の減額や免除をすることは考えられないのでしょうか。
 
 この点,不動産賃貸業である以上,賃貸借契約書記載の賃料につき,賃料の減額や免除をすることは,債権放棄することになるので,形式的には会社に損害を与える行為です。そこで,今後の政府のビルのオーナー会社に対する助成の対応等合理的な理由がなければ,最悪の場合,賃料の減額や免除決定をした取締役が会社に対して損害賠償の責任が発生する場合もありえますので(会社法423条),合理的な理由があるかも含め,慎重な判断が必要でしょう。

 もっとも,上記のとおり,賃貸借契約は,賃貸人が目的物の使用収益を賃借人にさせる債務と,それに対して賃借人が賃料を賃貸人に支払う債務との二つの債務が対価関係になっている双務契約ですから,ビルのオーナー側が賃貸の目的物である施設自体を休業したために,それに伴って,テナントが休業をせざるを得ないという場合には,賃貸人が目的物の使用収益を賃借人にさせる債務が一部又は全部履行されないビルのオーナー側の不履行があります。
 そこで,このような特段の事情がある場合には,目的物の使用収益が制限される範囲内で,対価関係にある賃料については,賃料の減額や免除
も考えられるのではないでしょうか。
 目的物の使用収益ができない範囲というのは,様々な対応があると思います。例えば,店に必要なものは置かせてくれているが従業員を含め全く店舗に入れないのか,テナントのお客さんだけ施設に入れないだけで従業員は入れて事務作業やデリバリーサービスに必要な調理はできるのかなど,異なるでしょう。
 テナントによって業種も異なることから,契約の目的に照らして使用収益が制限されている度合いで,対価関係にある賃料の内容をバランスもみながら考えていくのが大事だと考えます。

 ビルのオーナーがテナントに対して,新型コロナウィルスの影響による支払期限延長対応をする場合の案内文のひな型のダウンロード  新型コロナウィルスの影響による支払期限延長対応のお知らせ(ひな型)WORD

Freesia Law Officeフリージア法律事務所

【所在地】
〒102-0093
東京都千代田区平河町2−5−7
ヒルクレスト平河町203
 Map
TEL 03-3261-7641
FAX 050-3730-8170